私たちの研究材料は酵母です

《酵母を用いた研究:基礎研究から応用に向けて》​

 サッカロミセス属出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)は、単細胞の微生物です。 増殖が速くて飼いやすく、また、さまざまな遺伝子操作が容易であり、基礎生命科学で重要な数多くの発見が、酵母を用いた研究によって成し遂げられてきました。 酵母の最大の特長は、大腸菌などのバクテリアとは違って、動物や植物と同じく真核生物であることです。 そのため、真核生物特有の生命現象の解明に、酵母は大きく貢献してきました。 オートファジーについての研究で現東京工業大学の大隅良典先生がノーベル賞を受賞されたことは、皆さんの記憶に新しいと思います。 酵母を用いた研究で明らかになったこと礎となり、動植物での研究が進むというのが、バイオサイエンスでの多くのトピックでの研究の流れです。

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大隅良典先生が中心となっている大隅基礎科学創成財団によって、木俣准教授は「酵母コンソーシアムフェロー」に選出されました

 一方、サッカロミセス属酵母はアルコール発酵(酒造)など多くの面で、古来から人類と関わりを持ってきました。 そして、バイオエタノール製造など、酵母の産業利用は今後ますます重要性を増すでしょう。 酵母を用いた基礎研究での成果が、産業上で価値が高い酵母(物質生産能が高い、環境の悪化に強い)の作出に寄与すると期待されます。

 また、私たちは別種の酵母Pichia pastoris(ピケア・パストリス)を用いた研究も始めました。 Pichia pastorisは強力な遺伝子発現プロモーターを有し、遺伝子組換え法によるタンパク質性のバイオ医薬品(ホルモン、サイトカイン、抗体断片)の産生にも使われています。

​ 私たちのグループはこれまで、小胞体に着目した基礎研究を進めてきました。 そして今後は、基礎研究さらに発展させとともに、その研究成果の応用展開も目指しています。